既存の「ポップ」の概念が確実に書き変わったと感じさせるような昨年のジャニスの邦楽チャート。
シンプルなメロディや、歌う事を前提としたリズムが最大前提であったはずのポピュラー・ミュージックの世界で大きくユーザーを引きつけたのがDUBや、
ジャズのリズム。はたまたリズムすら持たないようなエレクトロニカ・サウンドであった事が最大の特徴だと思う。その一方で回帰の傾向も強く、
懐かしい手触りをもつフォーキーなサウンドが多くの人に愛され、チャートインした事も事実。それらが混然一体となり、
より豊かなミュージック・ライフを作りだしている。個人で聴く音楽の幅が大きく広がったようにも感じた1年だった。
常連組からまったくのニュー・フェイスまで、又は実力のあるアーティストの圧倒的な凄さみたいなものも感じられるアルバムも多くあり、
あらためて音楽というものが楽しく、美しく、素晴らしいものなのだと素直に感動する作品に出会えた1年でもあった。みなさん、いい音楽に出会えましたか?
それではジャニスの年間チャート、ご覧下さい。
たゆたう様なゆるやかなDUBがゆっくりと気持ちを解放してくれる1位のポラリス。
圧倒的なテクニックが生み出す奇跡のグルーヴで邦クラブ・ミュージックを代表する2位のROVOは、
リリースされたのは一昨年。とにかくずーっと人気で、見事に1位&2位。それも3位を大きく引き離してのランクインです。
3位のDCPRG(デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン/なんちゅー長いバンド名!)の昨年の大人気振りも特筆もの。
なんせベスト10内に2枚、40までだと3枚もランクイン。日本のファンク・ジャズのリアルな現在形がここにあります。モンド・グロッソはもはやベテランの貫禄。アーティスト/プロデューサー/DJと、
限定されない広い活動の場を持つ大沢伸一の今が、全てわかるアルバムが4位に。
5位のハナレグミはファンク・ロック・バンド「スーパー・バター・ドッグ」のVo、永積タカシのソロ作。
テンションの高いスーパー〜の音から一転、お日様の匂いのするフォーキーな作品には驚かされました。
6位の小島麻由美はウチでは常連組。「元祖・昭和歌謡の歌姫」。作り事のような歌詞の中に滲むリアルな女の子の心情を
読みとりましょう。7位のスケッチ・ショウも一昨年からずーと人気で、なんと2年連続ランクイン。エレクトロニカのきら
らかな音の波に響く美しいメロディや、オヤジ二人のセンチメンタルな歌声が素晴らしい!!
最新作のクオリティの高さに改めて細野/幸宏・両氏の凄さを思い知らされました。8位のゆらゆら帝国も常連組。
泥臭い、ねっとりとした和風サイケの頂点です。そしてDCPRG。ライブアルバムが堂々9位。現在は脱退している大友良英のギターも聞けます。
10位のリトル・テンポもいくつもの変遷を重ね進化してゆくバンド。サイド・ユニットやソロなど忙しいバンドです。
以上が昨年のジャニスベスト10でした。
さて、全体として感じるのはJAZZ系のアーティスト&サウンドの圧倒的な人気振り。そしてROVO/DCPRG関連の人々の凄まじい影響力です。
2003年、少なくともジャニスではこれが突出してました。聴く為だけの音楽ではなく、踊る為だけの音楽でもなく全身で感じとれるグルーヴを持った
アーティスト/アルバムが強く支持された感があります。
そして今後、加速度的に進むユーザーサイドでの「音楽とデジタル」との関わり。
iPodに代表されるようなハードディスクに録りためるというやり方はこれからの標準になってゆくはず。関連性のない、
全く異なるアーティスト/楽曲がランダム・プレイで聴ける状態というのは自宅やポケットの中に好きな曲だけ流れるラジオや有線放送があるみたいなもんです。
これが、パッケージ化された「アルバム」としての音楽の聴き方を壊してゆきます。それが良いのか悪いのかは別にしてね。
(アルバムの中では)全体の流れとしてなんとなく聞き流していたような曲が、異なるアーティストの楽曲の中でまったっく別の魅力を持って聞こえてきたり、
異なるジャンルの音楽の不思議な共通性に気付いたりと、聴く側が楽曲に対していくつのも発見が生まれる聴き方。
1000曲にも及ぶランダム・プレイはそうゆう作用を生み出します。ユーザーサイドの音楽の聴き方が変わる、という事はアーティストサイドの音楽の作り方も
変わる可能性があります。
だからこそ(そして、出来れば)固定のジャンルの音楽だけでなくいろんな音を聞いてみてください。びっくりするような発見をつぎつぎとして下さい。
今年もジャニスはそんな発見のお手伝いをしたいと考えています。
2004年2月ジャニススタッフ一同